大きな買い物をした後、美容院で髪を切った後、いつも話す馴染みの店員さんからのお礼状を受け取り微笑んだことはないでしょうか。見知った相手からの手紙は損得を抜きにしても嬉しいものです。店舗接客の現場でも古くから活用されている施策の一つではあるものの、店舗スタッフの得手不得手、手間やコストなど、汎用的な全社施策とするにはハードルが高い施策です。

この様な施策を自社や商品の強みを活かしつつ、システムをうまく活用する事で継続的な施策として実現したのがメガネスーパーを展開する株式会社ビジョナリーホールディングス(以下、メガネスーパー)です。

メガネはその商品特性上、店頭での購入が90%にもなると言われています。また、メガネのファッション化、高機能化(PC専用など)による複数所有の需要が伸びそのニーズも多様化しています。そんな中、メガネスーパーではアイケアカンパニーとして、その豊富な経験・知識、スタッフの技術水準の高さや丁寧な接客を活かし、様々な角度からのトータルの視力検査や保証システムの提供など、顧客のQOL(Quality of Life / 生活・人生の質)の向上につながるアイケアサービス・商品の提供を行っています。

パーソナライズDMで現場の意識もアップ

メガネスーパーでは、データ分析と店舗のPOSと連携したシステムにより顧客一人ひとりに合わせたDM発送を実現しました。前回の商品受け取り後に次の購入率が最も高くなるのは何日後かといったタイミングと、顧客属性と事前データ分析から導きだされたデスクワーク用、室内用、レンズ入替用、お手元用、家族紹介などといった共感を生むシナリオとクリエイティブで、パーソナライズ化されたDMを顧客に届け、来店を促しています。

このDMでは、実際に店頭で接客したスタッフの顔写真へ差替える事が可能になっており、親近感を高める仕様となっています。また、基本的なクリエイティブは前述のデータ分析により決まっていますが、実際に店頭で商品を顧客へ渡す際の接客スタッフの判断により、店舗のPOSシステムでシナリオを変更出来るようになっています。店舗スタッフの丁寧な接客をDMというメディアにおいても活かしているのです。一般的に従来のDMは運用やコストの都合もあり本部などから一括での送信となる事が多いです。これに対し本施策では店舗のアクション主導とすることで店舗スタッフがマーケティングへ参加できる施策とし、接客モチベーションの向上に繋げています。実際に店舗スタッフ側から、新規シナリオの要望が挙がるなど現場意識の変化も見られているそうです。

さらに、顧客への効果としては、元々は全購入者に対するLTV向上を目的とした施策であったにもかかわらず、最重要課題のひとつであったメガネの複数購入率の飛躍的向上にも繋がったそうです。実際、日本郵便が行う「デジタル×アナログ」実証実験のプロジェクトによると、DMには”あたたかみ”と”限定感”が感じられる効果があり、ロイヤリティの高い人ほどDMへの好感度は高くなるそうです。また、丁寧に接客してくれたスタッフからのDMはサイレントクレームの抑止につながる可能性もあるでしょう。

自社の強み、取り扱う商品特性を活かしつつ、本部で実施する所、店舗スタッフが実施する所を巧みにシステムで分担し、DM発送・店舗運用を絡めた仕組みを非常にうまく実現した、非常に興味深い事例です。


ビジョナリーホールディングスの宮森氏は本取り組みについて次の様に語ってくれました。
「今までこちらのタイミングでDMを送付していましたが、Re;pを活用することで、データから導きだしたタイミングを逃すことなく、お客様の行動がトリガーとなってパーソナライズされた訴求でリーチができるようになり、結果として継続的に実績が出ています。またRe;pによって顧客へのアプローチが多様になり、施策立案の幅が広がっています。」
今後の施策展開も注目です。