病院のベッドに一人で横たわっていると、全身防護服を着た二人の宇宙人のような人物が近づいてくる。顔も手も見えず、声も小さい。違いがわからず全員が不気味なクローンのようですが、もちろん宇宙人に誘拐されたわけではありません。

そう、あなたは新型コロナウイルスに感染した患者の一人です。
周りの人々が身につけているのは顔の大部分と首から下の体のあらゆる部分を覆う防護服です。頭からつま先まで覆われていることは、医師、看護師、その他の介護者を保護するために効果的な方法かもしれませんが、それは同時に、ほとんど全ての人間個人の特徴を奪い、ベッドの隣に立っているのが誰かを判断することはほぼ不可能になります。


そんな時、あなたの周りにいるスタッフが、服に大きなステッカーを貼って笑顔を見せてくれたらどうでしょう。それだけでも人間味が感じられ、患者さんに、病状を理解しているだけでなく、あなたの痛みや不安も理解しているこの人が治療をしているという安心感が与えられるのではないでしょうか。

[Faces Behind Masks] は、イスラエルのテルアビブで生まれたグローバルな非営利団体で、新型コロナウイルスで苦しむ患者と医療チームに、人と人との繋がりを取り戻してもらう事を目指しています。
世界中のデジタル印刷会社と医療チームをつなげ、医療チームのスタッフが自分の顔写真と名前の入ったステッカーを作成できるようにしているのです。各スタッフが顔写真を防護服に貼ることで、患者はマスクだけでなく顔を見ることができます。単純なアクションですが、患者と医療チームがよりつながりを感じるのに大きく役立っています。

しかもこの取組は、特定の地域を対象としたローカルなモノではありません。数十の国、何百もの医療センターや印刷会社、そして何十万ものパーソナライズな印刷物を対象としたグローバルな活動なのです。
裏側は複雑なオペレーションとなります。世界中のどこからでも医療スタッフが顔写真をアップロードし、その地域で参加する印刷会社がアクセスできるインフラが必要です。また、医療スタッフはシフトごとに防護服を数回交換する必要があるため、印刷はバッチ単位で行わなければなりません。さらに、各バッチが病院の適切な病棟に配送され、各スタッフがステッカーを取得できた事を確認するという物流上の課題もありました。

[Faces Behind Masks]については、以下をクリックしてください。
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[Faces Behind Masks]のはじまりは新型コロナウイルスのパンデミックでしたが、この取り組みはコロナウイルス病棟だけに限定されるものではありません。

[Faces Behind Masks]は、製品ラベリングと特殊包装のリーディング企業であるCCL Industriesのグローバル・クリエイティブ・ディレクター兼コネクテッド・パッケージングの責任者ラフィ アルボ氏の発案によるものです。

「すべてはある夜に始まった」とラフィ氏は回想します。
「真夜中に何気なくFacebookのフィードをスクロールしていたら、数人の医学生が防護服に自分の顔を書いたステッカーをプリントアウトしているのを見ました。これにすぐに目が留まり、その日の夜、彼らにメッセージを送りました。私はすぐに、彼らが創造的なアイデアを思いついたとしても、彼らには印刷業界に詳しいパートナーが必要であり、印刷業者をこのプロジェクトに積極的に参加させなければならないことに気付いたのです。」

ラフィ氏はすぐにこのプロジェクトに注力し、多大な努力を惜しまず、豊富なネットワークと交渉力、情熱を駆使して、このローカルな取組を大規模でグローバルな規模のプロジェクトに変えていきました。彼はこのプロジェクトのために、印刷会社に大量のステッカーを寄付するように説得したり、病院の責任者に協力してもらったりして、長時間を費やしました。
そして、わずか6週間程度で、このプロジェクトのためにA5サイズのステッカーを印刷してくれるデジタル印刷会社9社を採用することができたのです。
現在までに、世界中の医療スタッフに300万枚以上のステッカーが提供されています。また、患者ケアにおける個人的な関係を回復することの重要性を認識している病院からの需要と共有は雪だるま式に増加しています。


「この取組の前提には、強力な洞察力があります。」とラフィ氏は言います。
「患者ケアとは、単に医療処置を行うことだけではありません。患者さんと医療スタッフの個人的な絆が重要なのです。これを実感できたことでこの取り組みをしっかりと信じ、積極的な推進、世界規模での展開、デジタル印刷のコミュニティに、人々の生活に大きな変化をもたらす何かに参加していると感じてもらえるようになったのではないかと思っています。」

XMPie社は、パーソナライズする印刷技術でこのプロジェクトに参加し、パーソナライズステッカーを作成できるインフラを、他の参加者と同様にボランディアとして提供しています。
XMPieのゼネラルマネージャーであるアロン バーシャニー氏は「パーソナライズされた印刷は、個々の人の心を打つことができる強力なコミュニケーションツールです。このようなことは、私たちのお客様にもよくあることです。しかし、我々がビジネスを始めてから20年が経ちましたが、一つのキャンペーンでこれほど世界中の人々の痛みに貢献出来たプロジェクトは思いつきません。個人的にも、我々のチームが世界中の患者さんにインパクトを与えることが出来ている事を知り、本当に誇りに思っています。」と付け加えた。